おじさんは予防線にはなりません
ぼーっと考え込んでいたところに突然、声をかけられ、焦って返事をしてしまう。

「なにぼーっとしてるんだ?」

声のした方に視線を向けると、池松さんがにやにや笑いながら立っていた。

「……別に」

呼ばれているのに気づかないほど、考えていたなんて恥ずかしくて頬が熱くなる。

「それ、もう終わりそうだな」

私の机の上には先日、封筒詰めを頼まれたプリントが載っていた。
残りはもうさほどなく、今日中には終わりそうだ。

「そうですね。
もしかして、急ぎましたか?」

急がないから暇なときにやってくれとは言われていたけれど、本当は期限があったんだろうか。

「いや、助かった。
ありがとう。
それでだな、明日、お礼に一緒に昼メシ食いに行かないか」
< 67 / 310 >

この作品をシェア

pagetop