おじさんは予防線にはなりません
そういえば封筒詰めを頼まれたとき、お礼にステーキのおいしいお店に連れて行ってくれるとか言っていたような。
でもほんとにいいのかな。

「遠慮するなっていつも言ってるだろ」

「いっ、たー……」

返事を迷っていたら、池松さんにデコピンされた。
痛むおでこを押さえて涙目で見上げると、八重歯を見せてにやりと笑う。

「明日は弁当、持ってくんなよ。
あとこれは今日のお駄賃」

突き出される拳に手を差し出す。
そこにいつものようにパインアメが乗せられた。

「ありがとうございます」

「うん」

くいっと眼鏡をあげる池松さんに、お礼はネクタイにしようと決めていた。



仕事が終わり、紳士服フロアに上がる。
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