おじさんは予防線にはなりません
どっかに行って欲しくて話を変えるけど、宗正さんが私の肩から手を離す気配はない。

「シャツ、買いに来ただけだし、もう用は済んだから」

そういえば宗正さんの脇にはシャツが一枚、挟まれている。
しかし、用が済んでいるとなれば、追い払うことができない……。

「ねえねえ、ネクタイ、オレに選ばせてよ」

後ろから顔を回してのぞき込まれ、思わず身体が仰け反った。
だって、唇がふれそうなほど近かったから。

「その、……自分で選びますので」

「いいじゃん、ほら。
どんな人?
年上、年下、それとも同い年?」

私を無視して宗正さんはうきうきとネクタイを選び出した。

そういうのは困る。
非常に困るけど、このままうだうだ悩んでいても自分で決められたとは思えない。

「……年上、です」
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