おじさんは予防線にはなりません
落ち着いた大型犬でいて、ものすごく人なつっこそう。

料理を待っているあいだに、持ってきたネクタイの包みを差し出した。

「池松さん。
その、……いつもお世話になっているお礼です」

「俺に?」

受け取りながらも池松さんは戸惑っていて……もしかして、迷惑だったのかな。

「池松さんのおかげでまだ、ここで働いています。
あのときだって気遣ってくれたし、今日だって。
感謝、しています」

マルタカのレディースファッション部で働きはじめて、三ヶ月目に入った。
あんなことがあってもまだ、辞めるつもりはない。
このあいだ様子を見に来た早津さんにも、会社から契約を切られない限り続けるつもりだと伝えてある。

「よせや。
おじさんは当たり前のことをしただけだ。
それに、まだ続けられてるのは羽坂が頑張ってるからだ。
羽坂が頑張るんだったら、おじさんは全力で応援する」
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