この溺愛にはワケがある!?
「すみません。何から何まで……」

「いいのよ………でも災難だわね、黒田さんもよくあんな女と付き合えたものね。どこがいいのか全くわからないけど」

(本当に!!文句言ってやらなきゃ気が収まらないわっ!あれ?大谷……ってまさかあれじゃ……)

「大谷って……大谷不動産とかじゃないですよねぇ?あのブラックな噂のある……」

少し前、暴力団との癒着が問題になり倒産に追い込まれた不動産企業があった。
その会社、表向きは不動産の看板を下げているが実は裏で暴力団と繋がり、たちの悪い闇金の窓口になっていたらしい。
その名前が大谷不動産だ。

「まさか!大谷なんて良くある名前だし………でも、調べた方がいいかも」

「はい、隆政さんに聞いてみます」

先程の昼ド……大谷静の言葉遣いはドラマで見る極道の女っぽかった……。
強ち噂の大谷不動産の娘である可能性も否定出来ない。
美織は休憩室へ向かうと驚き顔で固まっている寧々をよそに、鬼のようにスマホにメッセージを打ち込み始めた。

『さっき、大谷静って人に思い切り平手打ちされましたが、お知り合いでしょうか!?』

と、少し嫌みたらしく送っておく。

「み、美織さん?一体何が……あっ!」

美織の顔を覗き込んだ寧々は、その片頬が腫れていたのに気付いた。

「ひどい……どうしてこんな?」

「さっき訪ねて来た人にぶたれちゃって……」

なかなか来ない返信にイライラし美織はスマホをカバンに放り込んだ。

「高そうなスーツの女??ですか?」

「うん」

寧々はまだ何か聞きたそうだったが、芳子が湿布を手に入ってきたため一度口をつぐんだ。

「はい、これ貼っておいて。早く腫れが引くといいけど……」

「ありがとうございます」

「うん。で、黒田さんから連絡あった?」

美織はカバンの中から改めてスマホを取り出す。
メッセージに返信はなく、読んだ様子もなかった。

「ないですね……」
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