この溺愛にはワケがある!?

クールな主婦の考察

「今の………何だったの?加藤さん、大丈夫?」

前田課長は二人の姿が消えると、心配そうな顔で美織の元にやって来た。
来るなら困っている時に来て欲しかった!
と、出かかった言葉を飲み込んで、美織はふぅとため息をつき言った。

「お騒がせしました……何だか、良く分からない人たちでしたね……えっと、何かのトラブルでしょうか?あはは……」

力なく答えると、前田課長はあっけらかんとして言った。

「だけどさぁ、両方とんでもない男前だったよね?加藤さんを巡ってのケンカとかじゃないの?」

(それは……どうなんだろうか……ある意味そうなんだろうか……いやだ、いやだよぅ……)

「そんなこと ……ないです……よ……」

「そう??ふーん」

前田課長の目が猜疑に満ちている……。

「まぁ、気を付けてね。ここの課じゃないけど、そういうトラブルで包丁持って来られたこともあるから」

美織のひきつった顔を見て、前田課長は急に朗らかに笑いだした。

(何笑ってんの!?笑う場面違うでしょうが!!)

「加藤さんはしっかりしてるから、そんな心配皆無でしょ?わかってるって!」

「ええ……まぁ……」

とりあえずそう答えるしかない。
事情を知らない前田課長はケラケラと笑って去っていったが、事情を知っている2番、3番、4番窓口の面々は複雑な表情でこちらを見ていた。
寧々なんておじいさんの話を聞きながら、もう目はこちらをガン見だ。

(これは昼休み、質問攻撃だわね……)

と、美織はまたまた大きく溜め息をつくのであった。
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