訳あり結婚に必要なもの

「あーどうしよう。香澄さん」

あたしは基本的に相手が上司だろうと年上だろうと、嫌なものは嫌だと言ってしまう。だけど、三輪はそれが苦手。「断る」ということは色々と心配性の三輪には難しいらしい。今断ったら相手はどう思うんだろう?とか色々考えて、だんだんとマイナス思考に陥るのは三輪のお得意だ。

やけになった三輪がグイッとビールをあおる。

「三輪って考えすぎなんだよ。断っても部長は怒らないって」
「断る理由を聞かれるじゃん」
「“心に決めた人がいるんです”って言えばいいじゃない」
「そんな人いない」

三輪は再び缶を傾けるが空だったのか、一瞬眉を潜めたあと、新しい缶ビールを開けた。ペースが早いよ、三輪。

「じゃあ、もういっそお見合いしてみたら?」
「え、いやだよ」
「どうして?案外、三輪の好みの子が来るかもしれないじゃん」

なんやかんやで、三輪の好みの子って知らないけど。

三輪の元カノって言えばみんな気の強い肉食女子ばっかりで。それはどちらかと言うと押されて負けたから付き合ったものだから、三輪の好みとは言い難い。

「そもそも三輪の好みってどんな子?」

そういえば聞いたことなかったなーと三輪の顔を覗くと、三輪はうーんと呟きながら黒目だけ上に向ける。考えるときに目だけ上を見つめるのは、三輪がよくやる癖だ。
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