かわいい戦争
「剛、自己紹介してなかったの?」
「……あー、そういやしてなかったっけ。あ、でもお前のことは言っといたぜ?」
「え!なんてなんて!?超絶美人で性格もよし、仕事もできる完璧な乙女だって?」
「規格外のやべぇ奴だって。な?その通りだったろ?」
「……んん~?ごっめん、よく聞こえなかったな?今なんて言いやがった、へっぽこサボテンヤロー」
「事実だろうが、怪力ゴリラ」
幸珀さんと男前なお客さん――剛さんが、低レベルな口喧嘩を始めてしまう。
この光景、見覚えがありまくりだ。
後ろの4人の、特に天兒さんと勇祐くんの日常だもん。
剛さんと初めて会話したときのことを思い出した。
『言ったろ?誰より“悪い子”だったって。あいつはなぁ、一癖も二癖もあるやばい奴なんだよ』
『や、やばい……?』
『そう、やべぇんだ。頭も感覚も、強さも、な。規格外ってああいう奴のことを指すんだって、そいつを見て思ったね』
『そ、そんなにですか?』
『一回会えば君もわかるさ。あいつのやばさは相当だよ。あいつを守るなんてとんでもねぇ。むしろこっちを守ってほしいぜ』
剛さんが知ってる『女でも神雷にいる誰より“悪い子”だった奴』の話。
あのとき言っていた『あいつ』って、幸珀さんのことだったんだ。