かわいい戦争
◆
わたしが璃汰と出会ったのは
中学の入学式だった。
新入生を代表して檀上で挨拶の言葉を読み上げる、須夜崎璃汰という人間にその場にいた誰もが目を、心を奪われ、息を呑んでいた。
いつしか映画のワンシーンを観ている感覚になるほど、鮮烈な時間だった。
講堂全体に届く、澄んだ声。
どこから見ても綺麗に整った白い顔。
桜の似合う、儚げな雰囲気。
つい最近までランドセルを背負っていたのか疑ってしまうくらい大人びているのに、挨拶を終えて一礼した彼女が最後に浮かべた笑顔はとてもあどけなくて。
パーマがかったダークブラウンの短い髪がふわりと揺れる度に、圧倒されていった。
『か、かわいい……』
あんなかわいい子、現実にいるんだ。
しかも同じ学校、同じ学年にいるなんて。
ドキドキした。
真新しいセーラー服が堅苦しいせいでも、入学式に緊張しているわけでもない。
とびっきりかわいいあの子のいる中学生活に、期待してしまったんだ。
きっとこの瞬間
わたしは須夜崎璃汰に憧れた。
まるで一目惚れのように。