かわいい戦争




須夜崎璃汰に憧れたのは、わたしだけじゃなかった。


女の子も男の子も、2年生も3年生も。

たくさんの人が魅了されていた。



入学して1週間ほど経った頃には、須夜崎璃汰という名前を知らない生徒はいなかった。




『あっ、須夜崎さんだ!』


『いつ見てもお美しい……』


『ほんとにかわいいよね』



わたしは彼女とは違うクラスだったから、ときどき廊下ですれ違う程度。


あっという間に遠い存在になった有名人を見かけられたらラッキー。今日はツイてる。

そうやって友達とはしゃぐ日々。



一方的に彼女を目で追って、憧れを募らせていくだけ。



それでもよかった。
それで、よかった。


明らかにわたしと彼女じゃ住む世界が違う。



須夜崎璃汰はいつだってキラキラしていた。



常に大勢に囲まれてる人気者で、いつも楽しそうに笑っていて。


嫉妬はあれど、彼女を嫌いな人なんかいなかった。



だから、たぶんわたしの勘違い。

愛され者の彼女とたまに目が合うなんて。


あり得ないよね。



クラスが違うんだからわたしを知ってるはずもないだろうし、わたしなんかに興味があるとは思えなかった。




『あ、ねぇ……』


『まただよ』



今の今まで惚けていた友達が、急激に悲しげに暗くなる。


さっと逸らした視線が送られていた方向では、須夜崎璃汰のそばにいる数人の女の子がわたしたちを横目に嘲笑していた。


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