初恋は水中の彼


「譲先輩ってぽっちゃり系が好きになったんですかねー、私は食べても太れなくて」

玲花は席を立ってどこかへいってしまう

「あたし、太いのかな、律ちゃん」

杏奈は無意識に食べていた箸を止めた

「上半身は水泳してるんだからしかたないよ、それにさ杏奈は胸があるし、顔もどっちかといえば丸いし」

「丸い……」

「体型変わってないんでしょ、柴田くんが杏奈を選んだんだから大丈夫、食べな」

「うん、律ちゃんも食べる?」

「私はもう、お腹一杯(笑)」


会もお開きになる

「杏奈、帰るか?」

「今年は二次会行かなくていいの?」

「犠牲者は一年だ(笑)」

譲は杏奈の手をとって歩いて帰る
玲花は後ろからみていた

「楽しかったか?」

「うん、料理も美味しかったし、あっ」

「どした?」

「あたし太い?」

「太くはないけど丸いよな、かわいいじゃん(笑)」

「あたし連れて歩いて恥ずかしくない?」

「なんで?かわいいっていってるじゃん、おかしな奴だな」

「玲花ちゃんて食べても太れないんだって、いいなあ、あたしなんて食べるの好きだから食べたら運動しないといけないのに、それに譲のこと好きなんだね」

「高校の時に告白されたよ、断ったけど、変わらず話しかけてくるから俺も話すけどああいうさっぱりした性格はアスリート向きかもな、常に前向きなとこは杏奈も見習うといいよ」

「うー」

「気になるんだ、ヤキモチやいてくれてるのかな」

「妬いてる、アスリート向きであたしよりタイム早くて美人で細くて」

「なんだ、俺にじゃないのかよ(笑)、杏奈もまだ伸びるよ」

家につく

「じゃあ明日な」

おでこにキスして分かれる



大学構内、杏奈は部室に向かって歩いていた

「杏奈ちゃーん、お疲れ」

「お疲れ様、譲は?」

「監督に呼ばれて、少し遅くなる」

「何だろ」

「国体予選に向けてじゃないかな、居残り練習、去年も先輩達してたから」

「なるほど」

「今度の大会で成績残せば県代表だからな」

「杏奈ちゃん、一緒に帰れなくなるね」

「でも譲は大学入ってタイム伸びてきてるしいいことだから応援しなくちゃね」


部活で来週から居残り練習のメンバーの名前が呼ばれた、それに伴い強化選手だけ別メニューの変更もあった
選ばれたのは男女合わせて九名、玲花も一年ながら入っていた


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