流転王女と放浪皇子 聖女エミリアの物語
しかし、古い時代の甲冑は背の高い青年には小さすぎるようだ。
腹と腰が露出してしまっている。
不格好すぎて、兜の面頬を上げて顔を出したキューリフが苦笑している。
「大きさが合いませんが」
「ならばそなたの体を甲冑に合わせればよいであろう。騎士道精神に染まれば身も心もその甲冑が似合うようになるはずですからな」
あいかわらず無茶を言う伯父だ。
崩れゆくナポレモの城の前でみなの笑い声が広がる。
エリッヒがキューリフの背中をたたく。
「似合うじゃないか」
「なら、殿下にお譲りしますよ」
「俺は身軽な方がいい。旅に甲冑はいらんからな」
「では、わたくしはこの格好で殿下のお供をいたします」
「絶壁で懸垂くらいできるようにしないとな」
キューリフが兜を脱いで肩をすくめる。
「できるわけないでしょう、殿下」
ナヴェルが二人の間に割って入る。
「ならば、わしといっしょに鍛えましょうぞ。引退したとはいえ、わしもまだまだ姫様のためにつとめる覚悟に変わりはありませんからな」
二人の若者はお互いに顔を見合わせて肩をすくめるしかなかった。
その後、この若者が領民達の間で『腹出し公爵』というあだ名で呼ばれるようになるのはまた別のお話。
腹と腰が露出してしまっている。
不格好すぎて、兜の面頬を上げて顔を出したキューリフが苦笑している。
「大きさが合いませんが」
「ならばそなたの体を甲冑に合わせればよいであろう。騎士道精神に染まれば身も心もその甲冑が似合うようになるはずですからな」
あいかわらず無茶を言う伯父だ。
崩れゆくナポレモの城の前でみなの笑い声が広がる。
エリッヒがキューリフの背中をたたく。
「似合うじゃないか」
「なら、殿下にお譲りしますよ」
「俺は身軽な方がいい。旅に甲冑はいらんからな」
「では、わたくしはこの格好で殿下のお供をいたします」
「絶壁で懸垂くらいできるようにしないとな」
キューリフが兜を脱いで肩をすくめる。
「できるわけないでしょう、殿下」
ナヴェルが二人の間に割って入る。
「ならば、わしといっしょに鍛えましょうぞ。引退したとはいえ、わしもまだまだ姫様のためにつとめる覚悟に変わりはありませんからな」
二人の若者はお互いに顔を見合わせて肩をすくめるしかなかった。
その後、この若者が領民達の間で『腹出し公爵』というあだ名で呼ばれるようになるのはまた別のお話。