流転王女と放浪皇子 聖女エミリアの物語
職人の男が助手を一人連れてやってきた。
「すまんが、仕事だ。あんたらは外で体でも洗っていてくれ。薪で火をおこして湯を沸かしてもかまわんぞ」
二人は礼を言って工房の外に出た。
中庭に井戸がある。
地面はぬかるんだままだが、雨は上がっていた。
上空は灰色の雲が流れていくが、地上はそれほど風が強くない。
鈍い色の空が少しずつ鮮やかな輝きに変わっていく。
水色の澄んだ光の中にオレンジの朝焼けが広がる。
ニワトリの鳴き声が村中から聞こえはじめた。
エリッヒが井戸から水を汲んで顔を洗った。
「水が冷たいな。少し湯をわかそう」
工房の裏手に積んである薪を取ってきて、井戸のそばにある焚き火用の囲いの中で火を焚く。
大鍋に水を入れて湯を沸かしている間に、エリッヒは服を脱いで井戸水で体を拭き始めた。
背中の筋肉が盛り上がっている。
エミリアは男の裸体に見とれていた。
桶の中に服を入れて踏みつけながら洗濯もしている。
足が赤くなっている。
「冷たくないのですか」
初夏とはいえ、早朝はやはり涼しい。
「俺は慣れてるからな。あんたはお湯が沸いたら洗えばいいさ」
エリッヒはまったく気にしていないようだった。
桶の水を捨てて新しい水を汲む。
洗った服を干していると、パンの焼けるいい香りが漂ってくる。
工房から少女が出てきた。
「パパがね、この服に着替えろって」
二人分の男物の服を渡してくれた少女にお礼を言って、エリッヒが服を着た。
「俺は少し村の様子を見てくるから、あんたはそのお湯を使って洗いな」
気をきかせたのか、エリッヒは中庭を出ていった。
少女がエリッヒの後をついていく。
この田舎の村では旅人は珍しいのだろうか。
一人になったエミリアは、エリッヒがやっていたやり方をまねて井戸から水を汲んでみた。
「すまんが、仕事だ。あんたらは外で体でも洗っていてくれ。薪で火をおこして湯を沸かしてもかまわんぞ」
二人は礼を言って工房の外に出た。
中庭に井戸がある。
地面はぬかるんだままだが、雨は上がっていた。
上空は灰色の雲が流れていくが、地上はそれほど風が強くない。
鈍い色の空が少しずつ鮮やかな輝きに変わっていく。
水色の澄んだ光の中にオレンジの朝焼けが広がる。
ニワトリの鳴き声が村中から聞こえはじめた。
エリッヒが井戸から水を汲んで顔を洗った。
「水が冷たいな。少し湯をわかそう」
工房の裏手に積んである薪を取ってきて、井戸のそばにある焚き火用の囲いの中で火を焚く。
大鍋に水を入れて湯を沸かしている間に、エリッヒは服を脱いで井戸水で体を拭き始めた。
背中の筋肉が盛り上がっている。
エミリアは男の裸体に見とれていた。
桶の中に服を入れて踏みつけながら洗濯もしている。
足が赤くなっている。
「冷たくないのですか」
初夏とはいえ、早朝はやはり涼しい。
「俺は慣れてるからな。あんたはお湯が沸いたら洗えばいいさ」
エリッヒはまったく気にしていないようだった。
桶の水を捨てて新しい水を汲む。
洗った服を干していると、パンの焼けるいい香りが漂ってくる。
工房から少女が出てきた。
「パパがね、この服に着替えろって」
二人分の男物の服を渡してくれた少女にお礼を言って、エリッヒが服を着た。
「俺は少し村の様子を見てくるから、あんたはそのお湯を使って洗いな」
気をきかせたのか、エリッヒは中庭を出ていった。
少女がエリッヒの後をついていく。
この田舎の村では旅人は珍しいのだろうか。
一人になったエミリアは、エリッヒがやっていたやり方をまねて井戸から水を汲んでみた。