学年1のイケメンが探してる美少女は うちの弟です
……好きな奴。
和真が言ってた通り、時雨くんは私のことを……?
「トラの写真もあるし、和真の写真もある。 で、次はお前。 写真関係の話が出来る奴って貴重だから、やっぱり記念に撮りたいんだよなぁー」
……あぁ、そういう感じの話ね……。
写真の話が出来て、一緒に笑い合える関係の人……それを総称しての「好き」なんだ。
急に「好きな奴」なんて言うからビックリしちゃった。
まったくもう…紛らわしい言い方はしないでもらいたいよ。
ていうか、記念って……。
「……マルって、変わってるね」
「そう? つーか今、俺のこと「マル」って呼んだ?」
「あ…ごめん嫌だった? みんなそう呼んでるし、私もマルでいいかなって思ったんだけど……」
「ううん、全然オッケーだよ」
「よかった、じゃあこれからはマルって呼ぶね」
「うん」
時雨くん…ううん、マルは 頷きながら微笑んだ。
そのあと勢いよく立ち上がり、私に手を伸ばす。
「もうちょいしたら帰らなきゃいけないし、それまで少しだけ歩こうか」
「そだね」
マルの手を掴み、私も立つ。
その後……私たちは手を繋いだまま歩き始めた。
マルがSNSにアップしている写真のことを話したり、お互いのクラスのことを話したり、沈みゆく太陽をただただ無言で眺めたり。
ゆったりとした時間の中を、二人で過ごす。
そうやってるうちに、和真と伊勢谷くんがやって来た。