学年1のイケメンが探してる美少女は うちの弟です


近くに人が居ないのを確認しながら、どんどん校舎裏へと進んでいく。

予鈴が鳴るまでは……まだ20分以上もある。

にも関わらず、私はいつの間にか走り出していた。


マルに会いたい。

話がしたい。

その思いが強かった。






「……居たっ。 マルっ」



初めて会話した日は声をかけるのも嫌だったのに、今は当たり前のようにマルを呼ぶ。

草っぱらで携帯を構えながら しゃがみこんでいたマルは、私の声に反応して立ち上がった。


私が手を振るとマルも手を振る。

私が笑うと…マルも微笑んだ。



「マルっ、おはようっ」

「はよ。 ここで会うなんて久しぶりだな。 つーか、もしかして俺を探してた?」

「うんっ。 あのねっ、トラくんに聞いてここに来たのっ!!」


「待て待て待て、お前 声デカすぎだろ。 お茶飲んで落ち着け」



近くに置いていたお茶のペットボトルを、ヒョイッと投げてよこした。

まだ栓は閉まったままだ。



「ごめんありがとうっ。 あとでお茶買って返すねっ」

「別にいいよ。 ほら、飲め飲め」

「うんっ」



受け取ったお茶を勢いよく飲んでいく。

喉の奥がひんやりと冷えて気持ちがいい。

弾んでた息も落ち着き、知らず知らずのうちに大きくなっていた声も、通常のボリュームに戻すことが出来た。

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