学年1のイケメンが探してる美少女は うちの弟です
「ありがとう。 おかげさまで、落ち着きました」
「それで、どうした? 何かあった?」
「えっと、あの……和真の投稿、ごめんねっ……」
「ん?」
「マルが教えてくれたのに、なんか…撮影スポットを横取りしたみたいな感じになっちゃって……」
胸がズキズキと痛む。
けれどマルは、なんでもないような顔を私に見せた。
「いやいや、横取りとか そんなの思わないって。 あの場所は俺の持ち物じゃないし、誰がどう撮ろうが自由だろ?」
「でも……」
「和真の写真を見て、俺は純粋に嬉しかったよ」
また しゃがみこんだマルは、揺れ動く草へとカメラを向ける。
とても真剣だけど、でも口元には僅かに笑みを浮かべていた。
「誰が撮ってもいい。 いい写真が世界中にシェアされて、みんなが写真に興味を持ってくれるのなら それでいいんだ」
「……」
「……でもまぁ、ちょっとだけ…悔しいっつーのは感じたけどな」
パシャリ、とシャッターが切られる。
どこにでもある雑草を目の前にして、何度も…何度も。
「俺は撮るのを延期したけど、唐草 美麗は…和真はさ、それを撮って最高のものに仕上げただろ? ほんっと、なんていうか……やっぱりアイツは凄いなーって思ったよ」