王女にツバメ

琉生が帰った頃には乾いて、玄関で靴を脱ぐ後ろ姿が見られた。

「おかえり」
「……ただいま」

不思議な間があってから返事。こちらに近づいて、毛先に触れた。

「乾いてる」

そのまま毛先をくるくるして遊ばせる。これは癖なのか、気づくとあたしの髪の毛を触ってくるくるさせている。

「ストッキング……」

あった?

その言葉は飲み込んだ。結局先ほどより深く口づけを交わして、気づけばベッドに組み敷かれていた。

ぼんやりと琉生の顔を見上げる。贔屓目でしか見られないけれど、格好良いと思う。
なんでこんなところに来ているのか、全く分からない。

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