罪作りな彼は求愛方法を間違えている

厨房の方から、会いたかったようで会いたくなかった人が顔を出した。

あまりの突然の事で声も出ない私の隣に、当たり前のように座った人が、私の手首を掴んだことで、体に緊張が走る。

「感謝してくれよ」

「あぁ、お前のお節介に助けられたよ。おかげでやっと捕まえた」

男、2人の会話に、ピーンときた。

「コウ兄」

「そう睨むな。俺も心が痛いんだ。恋に悩む可愛い従妹も大事だが、恋愛初心者な親友も応援したい。悩んだ末の時間稼ぎだ。許せ」

「なんで、ここにきちゃったんだろ」

まさか、コウ兄が高橋さんに連絡をとるなんて、考えもしなかった自分の浅はかさに腹がたってくる。

「そのうち、俺のいない日を狙ってここに来ると思ってたよ。だから、来たら連絡するように頼んだが、こいつは、お前の様子次第だと言ってたんだ」

「そんなのどっちでもいい。こんなの卑怯よ」

「卑怯なのは、どっちだ?なぜ突然、何も言わず俺から逃げ出した?」

高橋さんに凄まれて、私の怒りは脅えに変わっていく。

「千花が脅えてる。そんなんで冷静に話し合えるのか?」

コウ兄の仲裁に高橋さんは、我を取り戻したらしく空いてる片手で自分の顔を覆い、ふーと大きく息を吐いた。

「怒鳴って悪かった」 
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