罪作りな彼は求愛方法を間違えている

その姿にデレながらキッチンの上にある戸棚を開け、そらくんのご飯を取り出し餌皿に盛った私は膝を抱えてしゃがみ、ご飯を食べる姿を可愛いなと思いながら見ている。

あっという間にペロリと食べ終え隣にある給水機から出る水を飲んだそらくんは、口の周りを可愛らしい舌と前足で綺麗にした後、私を見る事なくソファの上に飛び乗った。

彼の定位置となる猫足柄のクッションの上でクルクル周り背を向け丸まって寝はじめるツンぶりも、可愛くて仕方ないのだ。

野良だったせいか、私から触ろうとするとまだ逃げて行くので、今はまだ見ているだけだで我慢している。いつか気を許して触らせてくれる日を楽しみにして、『さて』と餌皿を持って立ち上がりキッチンで自分用の遅い晩ご飯に取り掛かった。

晩ご飯といっても、一人暮らしの冷蔵庫の中は寂しくほぼ飲み物類しかない。

基本、私は料理が嫌いなのだ。

だからついつい、普段はレトルトやコンビニに頼り、コウ兄のご飯を毎回楽しみにしていた辺り、女子力の低さが出てしまう。

それでも、今日はうどんを食べようとお湯を沸かすところから始める自分を褒めて、ソファの上で寝るそらくんをチラ見してから寝室に着替えに行った。
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