罪作りな彼は求愛方法を間違えている
じわじわとキスされたおでこに熱が集まる。
デコチューされた…
唇に残る柔らかな感触も、おでこへのキスにも、ときめきながらも戸惑っている。
もう訳わかんないよ。
手を繋いで歩いたり…
抱きしめられたり、触れるだけの唇へキスも…
そして、おでこにキスもなんて…
濃密で刺激的な出来事に、もしかして…と思う淡い期待が膨らみ一瞬だけ脳内がお花畑になった。だが、冷静に考えてみたらコウ兄のお店からここまでの約30分程の出来事は、彼の気まぐれとしか思えない。
だって、彼を好きだと自覚してから、これまで自分なりに頑張ってアプローチをして来たつもりだが、散々からかわれて相手にされず、何度も撃沈してきたのだ。
今日はトドメとばかりに、昔の彼女と私が似ていると言い、昔の彼女を懐かしんでいた人が、一週間ぶりに会った私に気持ちが傾くなんて有り得ない。
彼にとって私は、生意気な妹みたいな存在で、煩わしい女性達の誘いを断る理由に利用しやすくて、昔の彼女の面影を私を通して懐かしんでいるだけ…の存在。
きっと、赤い月を一緒に見た事を思い出したのだ。そして、私越しに彼女の面影を重ねてキスしただけ…
そう思うと納得してしまい、虚しくて悲しくなる。