罪作りな彼は求愛方法を間違えている
「俺がこうする理由、わからないか?」
あまりの近い距離に仰け反り、ぶんぶんと首を振る事で一杯一杯の私。
「それなら、わかるまで悩めばいい」
「はぁっ?なにそれ?」
「鈍いとわかってたが、ここまで鈍いとはな」
悪口を言われてるのに、目の前では拗ねた子供みたいに唇を尖らせ、ムスッとした顔をする高橋さんが可愛く見えて、怒る気も失せていく。
彼以外の別の人がこんな表情をしていたら、いい大人が気持ち悪いと思っただろう…
「…ふふふ…」
可愛いと思ってしまうのは、彼に恋してる欲目からに違いない。
「笑うな」
「だって…ふふふふ…」
頬を軽く抓られても痛くない。
「あー、ほんとお前の鈍さに手を焼く」
照れ隠しなのか彼におでこを小突かれていた。
「はい、そこまで…お前達の戯れ合いは他のお客さんに迷惑だ。苦情が出る前に帰ってくれ」
コウ兄の呆れた声に周りを見れば、温かい目で見ている人もいれば、敵視して睨んでくる人もいる。
「あー、悪い」
「悪いと思うなら早く帰れ」
少しも悪びれた様子もない高橋さんにコウ兄は、シッシッと手で追い払う仕草をしてみせた。
「千花、送って行くから帰るぞ」
「えっ、私も帰るの?まだ飲んでないんだけど」