罪作りな彼は求愛方法を間違えている

「に、逃げてないよ。ちょっと近いかなぁって思って横に動こうとしただけだし」

「へー、まぁいいけど」

物言いだけな口ぶりとは違い、口元に弧を描いて何か企んだ顔をしている高橋さんは、なぜかご機嫌なのだ。

なんだろ?
やっぱり、高橋さんはおかしい!

思いつく限り、今日の彼の変な行動を思い浮かべつつ、今度は堂々とテーブルを挟んで正面に座った。

「遠くないか?」

「何が?」

「お前の座る場所」

「真向かいにいるでしょ」

「そこだと落ち着かない。千花の定位置は俺の左横だろ。ここにこい」

床を叩いて、座るよう促されても、隣に座るのは危険な予感しかしない。

「ほら…来いよ」

焦れた高橋さんは、膝をついて立つと私の腕を掴んで引っ張って行き、強引に隣に座らされた私は、少しの反抗をみせる為にソファを背にして膝を抱えた。すると、ほら…と缶ビールを渡される。

「…ありがとう」

お互いに缶ビールのプルタブを開けたら、彼の缶ビールは先程転がった缶ビールだったらしく、手元で吹きこぼれだす。

「うわぁ…」

思いっきり、着ていたワイシャツにかかっていた。

「大丈夫…じゃないね。今、タオルと何か着れるもの持ってくるから、上脱いでて」
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