熱情バカンス~御曹司の赤ちゃんを身ごもりました~
ドキン、と胸が鳴る音を耳の奥で聞くのは、とても久しぶりのことだった。
創也が産まれてからどうしても夫婦のスキンシップは減っていて、キスさえも近頃はご無沙汰。
完全に油断していた私は、頬が赤くなっているであろうと確信してうつむいた。
「……ど、どうしたのよ、急に」
「ん? いいだろう、たまには。創也も寝ているし」
梗一のほうは平然としたもので、信号が青に変わると何事もなかったかのように再び車を走らせる。
「いいけど……なんか、久々にドキドキして、慣れないから苦しい」
服の胸のあたりをぎゅっと掴んでそんなことを言うと、梗一は昔の彼のような、傲慢さを滲ませた不敵な笑みを浮かべる。
「それは光栄だ。今は物理的に、時々しかこういうことはできないが、創也がもう少し成長してまとめて寝るようになってくれたら、ドキドキくらいじゃ済ませないからな」
妖しげなセリフとともにちらりと流し目を送られ、ますます焦ってしまう。
私は思わず後部座席を振り返り、眠っている創也に助けを求めた。
「創也……まだ、夜中のミルク欲しがっていいからね」
あからさまに焦った様子の私を、梗一は余裕の表情でクスクス笑っていた。