熱情バカンス~御曹司の赤ちゃんを身ごもりました~
「ごめん。調子に乗った。でも、これしきのことで涙目になるなんて……可愛すぎるだろ、詩織」
口元を手で覆って、ばつが悪そうに南雲が語る。
〝これしき〟って! あなたにとってはそうでも、私にとっては違う! 嫌がることはしないって約束なのに、さっそく接近しすぎよ……!
「これ以上近づいたら帰るからね!」
私はぷりぷり怒って寝室を大股で出ていき、リビングに戻ると勢いよくソファに腰かける。
少し遅れて、南雲が頭を掻きながら寝室から出てきた。
そしてもう一度「悪かったよ、詩織」と謝ると、ソファの足元にひざまずいて、私の手を取り包み込むように握った。
「これくらいのスキンシップなら許してくれるか?」
あまりに優し気な声で尋ねられ、調子が狂ってしまう。
でも、とりあえず不機嫌な表情を崩さず、そっぽを向いて答える。