ママと秘密の赤ちゃんは、冷徹皇帝に溺愛されています
序章

初めてレオンと会ったとき、なんて綺麗な男の子なのだろうと驚いた。

月の光のような銀の髪に、夜の闇のような黒い瞳は、絵物語で見た天使のようだった。

彼が私達の暮らす、ラヴァンディエ帝国の第六皇子という特別な存在なのだと聞いて、ああなるほどと納得したのを覚えている。

彼は都で起きている帝位継承争いを避ける為に、私達の暮らすルメール村にやって来た。

第六皇子なので次期皇帝候補には数えられていないけれど、宮殿はなにかと物騒なので、皇帝の側室である彼のお母様の命令で帝都から遠い我が家にやって来たらしい。
落ち着くまで館で一緒に生活するそうだ。


誰もがうっとりと見惚れてしまいそうな皇子様は、けれど、まるで猫のように警戒心でいっぱいに見えた。

綺麗な黒色の目で周りを油断なく見回している姿は他人が近づくのを拒否しているよう。

それでも私は、天使のような彼と仲良くなりたくて臆せずに近づいて声をかけた。

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