ママと秘密の赤ちゃんは、冷徹皇帝に溺愛されています
『こんにちはレオン様、私はイリス・ルメール、七歳です。ここに住んでいるので仲良くしてください』

『……ルメール男爵の娘か。しばらく世話になる』

笑顔の私に対して、レオンは仏頂面だった。それでも私は彼の隣に陣取り話しかける。

『レオン様は何歳なの?』

『九歳だ』

『私よりちょっと年上ですね。好きな食べ物は何ですか? 好きなご本は?』

次々と質問をする私に、彼は子供らしくない溜息を吐いた。

『なんでそんなに質問ばっかりするんだ?』

『だってレオン様と仲良くなりたいから』

レオンは不機嫌そうに顔を背ける。

『やめておけよ、俺と仲良くしても得しないらしいから』

私は驚いて目を丸くした。

『どうして?』

『俺は一番帝位に遠い皇子だからだ。俺に付いていても何の見返りもないってみんな言っていた』

そう呟いく様子はとても寂しそうに見える。

お城では友達が出来なかったのかもしれない……可哀そう。

すっかり同情した私は励まそうと明るい声を出した。

< 2 / 141 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop