ママと秘密の赤ちゃんは、冷徹皇帝に溺愛されています
「初めましてリラちゃん」

「…………」

リラはなぜか無言で、警戒するようにじっとソフィア様を眺めている。

あまり人見知りしない方なのに、どうして?

「リラ、ご挨拶しなさい」

小声で促すと、リラはぶんぶんと首を横に振ってから、大きな声で言った。

「ママにいじわるするひととは、なかよくしない」

「えっ?」

私は動揺しながらも中腰になり、小声でリラに語り掛けた。

「リラ違うのよ。ソフィア様はレオンのお母さまなの。リラのお祖母さまよ。意地悪なんてするはずないでしょう?」

ソフィア様に失礼をしてしまったと焦る私に対して、リラは堂々とした態度を崩さない。

「ちがくない! だってママ、あのひとこわがってるもん。いじわるされたんでしょ?」

絶句した。

この子はどうして隠しているはずの、私の気持ちに気付くのだろう。

小さな子供なのに、驚く程鋭い。

しかも子供なだけに遠慮なく感じたことを口にする。たとえ相手がだれであろうと。

「リラ、ママにいじわるするひとは、きらいだもん」

「ち、違うのよ……あの、娘が失礼な態度を取ってしまい申し訳ありません」

更に追い打ちをかけるリラを宥めつつ、ソフィア様に謝罪する。

絶対に気を悪くされてしまっただろう。

どうしよう。助けを求めるようにレオンを見つめる。

彼は何を考えているのか、ソフィア様をじっと見ていて、リラの無礼を取りなしてくれる気配はない。

レオン……私たちを守ってくれるんじゃなかったの?

困惑していると、ソフィア様がすっとソファーから立ち上がった。

そのままこちらに歩み寄って来て、私と同じように身を屈めてリラと目を合わすようにした。

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