ママと秘密の赤ちゃんは、冷徹皇帝に溺愛されています
「過去のことは誰のせいでもないんだ。誰もがそのときどきに進む道を選び必死に生きて来たんだのだから後悔する必要は無い。これからは未来を見ようと話し合っただろ?」

「……うん」

私が頷くとレオンは満足そうに笑い、それからソフィア様に向き直った。

「母上。俺はイリスを皇妃に迎えます。そしてリラを娘だと公表し正式に皇女の位を授けます。反対があったとしても意思を変えるつもりはありません」

宣言するレオンに、ソフィア様は私に対していたときとは打って変わって厳しい目を向けた。

「必ず成し遂げなさい」

「はい」

レオンは礼をすると、私たちの間にちょこんと立っていたリラに言った。

「リラ、話は聞いていたな?」

「うん、よくわからなかったけど」

レオンは少し笑って頷く。

「そうか。お祖母さまを許してはくれるか?」

私は緊張してリラの返事を待つ。

「うん、ママにあやまったから。もういーよ」

ほっとして肩の力が抜ける。

ソフィア様も嬉しそう。

改めて挨拶をやり直し、まだぎこちないながらも家族の時間を楽しんだ。

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