ママと秘密の赤ちゃんは、冷徹皇帝に溺愛されています
リラは信用出来る女官にまかせ、私は婚礼の儀の為に、教会へ移動した

そこでレオンと神の名の下に夫婦となる。

控えの間で私を待つレオンの姿を見たとき、私は思わずその場で立ちすくんだ。

ラヴァンディエ皇帝の正装姿は軍服。

黒の詰襟の軍服に深紅のサッシュ。華やかな勲章。腰には宝剣を帯びている。

高貴で凛々しいその姿に、否応なしに胸が高鳴る。

彼は私の姿を目に止めると、甘やかに微笑んだ。

「イリス、とても綺麗だ」

「レオンも……すごく素敵」

こんな人が私の旦那様になるなんて。

うっとりする私にレオンが言う。

「イリスへの愛はとっくに誓っているけど、今日改めて誓うよ。必ず幸せにすると」

「うん……でももう幸せにして貰ってるよ」

早くも涙が零れそうになる。だって嬉しすぎるのだもの。

レオンに手を引かれ皆が待つ教会に向かう。

広々としたそこには沢山の人が集まってくれていた。

ルメールから来てくれたお父様にお母様。ティオール王国からは叔母さまとセルジュ。

ソフィア様と予想よりも祝福ムードのラヴァンディエの貴族達。

そして……。

「ママ!」

ソフィア様の傍らに居たリラが駆け寄って来る。

「ママけっこん、おめでとー」

頬を赤くしてリラが言う。

そしてレオンに向き合い、ちょっと緊張したように言った。

「パパ、けっこんおめでとー」

レオンが珍しく動揺した。

リラはレオンをパパだと認めていたのだけれど、恥ずかしいのか、なかなかパパと呼べないでいたのだ。

私もレオンも気にしていたのだけど、無理して呼ばせるのも良くないと思い、あえて直そうとしなかった。それでもいつ呼んでくれるのかと楽しみに待っていた。

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