ママと秘密の赤ちゃんは、冷徹皇帝に溺愛されています
「なに、これ……」

リラの額に見たこともない赤い斑点が現れていた。

昨夜お風呂で身体を洗ったときはこんなものは無かった。

不安を覚えながらリラの様子を改めて確かめる。

熱はそれ程高くないようだった。けれど目を瞑ったまま声をかけても反応しない。

眠っていると言うより、ぐったり意識を失っているように思えた。

こんな症状初めてだ。

とにかく早くお医者様に診せようと、慌てて居間に行き荷物を準備する。

着替えや布などを大きな鞄に詰め込んでいると、私の寝室の扉がそっと開きレオンが姿を現した。

物音で異変を察して起きてきたたようで、彼は怪訝な顔をしている。

「何かあったのか?」

「うるさくしてごめんなさい、リラの具合が悪くてお医者様に連れて行く準備をしているんです」

「リラが?」

レオンの顔色が変わり、足早に近付いて来た。

「どんな様子なんだ?」

「顔に赤い湿疹のようなものが出来ていて、熱はないけどぐったりして呼びかけても起きないんです」

「……様子を見に行ってもいいか?」

「はい」

頷くとレオンは子供部屋に向い、そう時間を置かずに戻って来た。

彼の表情は険しく、私は嫌な予感に苛まれた。

「どうしたんですか?」

「直ぐに医者のところに連れて行こう。診療所はどこにあるんだ?」

「町の外れです。うちからはかなりの距離があります」

レオンは苛立たし気に顔をしかめた。

「なぜ医者が街はずれに住んでいるんだ」

不満を零しながらも、レオンはリラをベッドから抱き上げて連れて来てくれた。

私はリラを厚みのある生地のショールで包み込み慌ただしく家を出た。

早歩きで進んでも診療所までは結構な距離がある。リラが目を覚ます様子は全くなくますます気持ちが急いて来る。


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