その瞳に私を写して
次の日朝。

麻奈は起きて、軽く驚いた。

「おはようございます!」

勇平はとっくの昔に起きて、朝ご飯を作っていたからだ。


「コーヒー、できてますよ。」

テーブルを見てみると、その通り。

湯気が立っている、コーヒーが置いてある。

今までは、自分で淹れるしかなかったコーヒー。


それを男の子に、いや、自分以外の人に淹れて貰えるなんて。

その事に、麻奈は感動してしまった。


しかも勇平は、麻奈の手を引き、椅子に座らせて目の前に、コーヒーの入ったマグカップを置いた。

「はい、コーヒー。」

「ねえ、坂下君」

「勇平でいいよ。」

そう言って彼は、爽やかな笑顔を見せながら、再びキッチンへ行った。

普通の女性なら、夢の続きのような朝だ。


そう、恋に落ちた二人なら……


「……勇平君、出版社の専属にしてもらえるような、写真撮れたの?」

その時キッチンから、ベチャという音がした。

卵焼きか何か、返すのに失敗したんだろう。
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