その瞳に私を写して
ふと横を見ると、温かそうなマフラーがあった。

これなら、服のサイズを知らなくてもいい。

麻奈は服をやめて、そのマフラーを、プレゼント用に包んでもらった。


お店を出ると、さっきと同じ街のネオンが、麻奈の目に飛び込んでくる。

プレゼントを持って、歩く人達の中、違和感を感じた事が嘘のように、麻奈はウキウキしている。

なぜか今度は、勇平に会える気がした。


ホテルまでの道を、麻奈はそのまま引き返した。

今からプレゼントを渡した時の、勇平の笑顔が待ち遠しい。


ホテルに着き、もう一度だけ部屋の前に行った。

だがドアをノックしても、まだ返事はない。

「帰ってないんだ……」


時計を見ると、7時だった。

勇平はいつも、この時間に家に帰ってくるのだけれど。


待ってみようか……

もしかしたら、もう少しで帰ってくるかもしれない。

そう思った麻奈は、エレベーターホールの大きな窓枠に、腰掛けて勇平を待つことにした。


勇平が帰ってきたら、このプレゼントをあげて、仲直りするんだ。

麻奈は期待と不安を胸に、勇平の帰りを待っていた。
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