お嬢様。この私が、“悪役令嬢”にして差し上げます。


笑い飛ばした私に、なぜか渋い顔をするアレン。

そうこうしているうちに屋敷の玄関まで帰ってきてしまった私は、鬼のような形相で待ち構えているであろう母に身構え、足を止めた。


「…やっぱり、お母様の熱が冷めるまでお散歩しない?」


「許しません。ほら、行きますよ。」


「っ、な、なんでアレンもちょっと怒ってるの?」


「別に怒っていません。きゅん、ともしてくれないお嬢様に傷ついているんです。」


ーーと、わぁわぁ言い合っていたその時。

玄関に揃えられたヒールの靴に、私の視線が釘付けになる。


「これ、サーシャの靴…?」


ぽつり、と呟いた私の言葉に、アレンもぴたり、と動きを止めた。

今はまだ昼の12時。

華やかなパーティーに参加しているはずのサーシャの靴がここにあるはずがない。

しかし、それは紛れもなく妹が今朝履いて出かけたはずのヒールだった。そおっ、と履いてみると、双子である私の足にピッタリだ。間違いない。


(おかしいわ、こんなに早く帰ってくるなんて。…パーティーは夜まで続くはずなのに…)

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