潜入恋愛 ~研修社員は副社長!?~
黙り込んでいると、小さく溜息を吐き出す彼。
諦めたように態勢を崩し、背中をベッドへと凭れた。


「…俺はやっと、自分の理想に合う女性と巡り合ったと思って、喜んでたのにな」


あーあ…とまた声を上げる。
そして、背中を起こして私の方へ振り向き、こっちに目線を流した。


「香純は俺が副社長だと面倒か?そんな面倒くさい役職に就いてる男とは、付き合えないと思ってるのか?自分とは格差があると知って、後退りしたくなった?あんなに一緒に居て楽しいと感じてたのに、そう思ってたのは俺だけだったのかな?俺は、香純も楽しんでるみたいだって、ちょっと、思ってたんだけどな…」


違ってたのか…と溜息を漏らしながら話し続ける相手。
勿論それはそうだけど、どうしてもそうです…とは素直に言えなくて。


彼だけじゃなくて、自分も本当に心地良くて楽しかった…とは言い出せずに、いろんな事を頭に思い浮かべて胸が苦しくなってくる。

楽しいことも、恥ずかしかったことも全部思い出すと愛おしくて、素敵な時間だと思えてくる。


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