潜入恋愛 ~研修社員は副社長!?~
和室の襖を開けると中にいた尚行さんのご両親は立ち上がり、「どうぞ」と手招きしながら座布団を勧め、自分達もそれに座り直して正座した。


「初めまして」


尚行の父親です、と言いながら名刺を差し出すお父さん。
私の父はそれに遅れないよう反応して、内ポケットから名刺を取り出すと差し向け、「香純の父です」と名乗っている。


彼のお母さんと私の母は、そんな風に社会的な立場を優先する二人を見遣り、呆れた顔つきになりながら、わざわざご足労頂きまして…と声をかけ合った。



「「ほう」」


急に名刺を見合っていた二人が声を上げ、お互いに責任の重い立場ですね…と認め合う。

OCFの会長をしている彼の父と、地方で市長をしている私の父とでは、共通する点は何もないと思うんだが、企業のトップと市政のトップという点で、何らかの共通項が見つかったのか、笑顔で話し始め、和やかムードで会食が始まった。



「先生、いつも義父がお世話になっております」


お酌をしながら彼のお母さんは母に話しかけ、母も、いえいえ…と愛想笑いを浮かべて返す。


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