潜入恋愛 ~研修社員は副社長!?~
お互い会社の経営者や会長職をしている関係で、共にいるのはパーティーとかレセプションの時くらいよね、とお父さんに話しかけ、お父さんの方も頷きを返して、まあ顔が毎日でも見れるだけマシです…と言って笑った。


「それぞれに立場があっても夫婦が円満でいらっしゃるなら、よろしいのではないですか?」


父はそう言うと笑顔に変わり酌を進める。
両親達はお互いに自分達の話で盛り上がり始め、私と尚行さんは蚊帳の外に置かれた様な感じで、会食の席は幕を閉じた。




「それじゃ香純さん、また会いましょう」


タクシーの車内から手を振る彼のご両親に頭を下げ、ありがとうございます…とお礼を言う。
隣にいる彼も「またな」と言って手を上げ、走りだした車体を見送ると背中を伸ばして溜息を吐いた。



「香純」


母はタクシーに乗り込まずに私を呼ぶ。
「何よ」と振り返ると隣にいる彼にも目線を配り、顔を近づけてきながらこう言った。


「貴女、来月の第三日曜日は、ちゃんと空けときなさいよ」


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