潜入恋愛 ~研修社員は副社長!?~
「ううん、それは味付けを何も変えてない。ただ、缶詰のデミグラスソースに生クリームを少し垂らしてみただけ」


ハンバーグも悪いけどレトルト…と明かし、相変わらずでゴメンね…と父に向いて謝った。


「俺は香純が頑張って作ってくれただけで有難いよ」


香純の父は顔を綻ばせながらそう言うが、じっと見下ろすオムライスにはまだ手を付けず、食べるべきかどうかを悩んでる感じが窺えた。



「……あなた、そろそろ観念して食べたら?」


悩んでいる彼の思いを断ち切る様な言葉を発したのは、当然香純の母親だ。
彼女はグラスに入ったビールをゴクゴクと飲み干すと彼を見て、「ジェラシーも程々にして」と言い切った。


「香純はもう子供じゃないのよ」


もう立派に成人した大人でしょ、と料理を見つめながら言う。

彼はそれを聞きながら悔しそうに手を握って唇を噛み、言われなくても…という雰囲気で目線を彼女に移した。


「いいじゃない。あなたには、私という妻がいるんだから」


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