潜入恋愛 ~研修社員は副社長!?~
「ああ…そうだったな」


今日は社用で此処へ来てたんだったと思い出し、ちらっと前方にいる香純を見つめ、黙って目線を絡ませた。



「副社長」


武田は業を煮やすように近寄ってくると、「お早く」と俺のことを急かし、シャツの袖を掴もうとしたんだが……。


「ちょっと待て」

「はっ!?」

「そっちには後から合流する。皆と一緒に何処でも勝手に見回ってていいから」


ちょっと来い…と香純に近寄り、その手首を握りしめると休憩所を後にした。

武田は大声で「副社長!?」と叫んだが、俺はそれには応えず、ドアを閉めるとイベント会場の中を突っ切り、早足に外へと向かって進んでいった。


香純は突然のことで息を呑むしか出来なかったらしい。

ずんずんと歩を進めてイベント会場を抜け出す俺の歩調に合わせ、小走りするような感じで息を弾ませながらついて来た。




「あの……尚行さん?」


何処へ行くの?と後ろから声をかけてくる香純。

気づくと俺達は建物の裏手にある搬入口へ着いていて、俺はそれに気づくと足を止め、くるりと香純の方へと向きを変えた。


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