潜入恋愛 ~研修社員は副社長!?~
「結局は仕事だったのねと思ってた割に、自分は仕事とプライベートをゴッチャにして動くし、何だか想像と違ってて幻滅」


話してる相手は溜息をこぼし、彼が仕事とプライベートをきちんと分ける人だからこそ好きだったのに…と本音を明かしている。


「私は副社長の彼女が里穂なんだろうと思ってたんだけどね」


企画管理部で働いてる頃から補佐だったし、副社長に昇格した時も秘書として任命されてたからてっきり…と理由を言えば。


「私も少なくとも、彼には嫌われてないのかなと思ってたのよね。越智君とは企画管理部で働いてる頃から仲が良かったし、同期だし、割と従順に言うことも聞いてやって、ツーカーだなと自負してたから」


でも、それは私だけだったのかな…と呟く声を耳にして、改めて尚行さんのことを言ってるんだと実感。それで、さっき自分に怒っきたあの秘書の人と同僚だなと察し、出るに出られず、トイレ内で困惑した。



(聞き耳立てるみたいで、どうにも嫌だけど…)


耳を塞いでも反響して聞こえそうだと思うと息を呑むしかない。
すると、ハ…と息を吐き出すのが聞こえ、泣きだしそうな声で、「彼は別にアンテナを張ってたのかな…」と囁いた。

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