潜入恋愛 ~研修社員は副社長!?~
ホテルの大広間で半年ぶりに俺と会った祖父は、既に所業を聞き齧っており、顔を見るなり笑いだして、「また悪さをしてるそうじゃないか」と言いだした。


「おふざけも程々にしておけよ。お前もそれなりの立場に立ってるんだからな」


豪快に笑い飛ばしながらも締めるところは締めろ、と言い渡してくる。
そんな寛容でも抜け目のない祖父に肩を竦ませ、「俺は別にふざけてはないよ」と教えた。


「ほう。じゃ本気か?」


いい報告があるなら聞かせろ、とばかりに目元を細め、それはまだなんだけど…と言葉を濁す。


「なんだ、らしくもない」


お前がそんなに奥手な奴だとは知らなかった…と勝手に解釈をして、こっちとしては何も言う気がなくなるが。


「お爺さんの期待する様なことはまだ何もないだけですよ。そのうちまた何かあったら報告しに行きます」


約束します…と言うと、にやりと笑みを浮かべ、それじゃ今日用意した人は不要だったかな…と目線を俺の背後へと向ける。
それに合わせて振り返ると、若い女性が振袖を着て、自分の父親と親しそうに話し込んでいた。


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