命令恋愛
☆☆☆

放課後になり、あたしはいつも通り勇気君と２人で帰っていた。


「あのさ、お試し期間っていつまで？」


あたしは左側を歩く勇気君に何気なくそう聞いた。


「えっと……。とくには決めてないけど」


勇気君はなぜか慌てた様子を見せている。


お試し期間が終れば別れてしまうと思っているのかもしれない。


「じゃあ、お試しは今日でおしまい」


「……そっか」


案の定、勇気君は落ち込んでうつむいてしまった。


「だから今からは、ちゃんとあたしの彼氏になってね？」


あたしの言葉に勇気君は勢いよく顔をあげてあたしを見つめて来た。


その目は驚きで大きく見開かれている。


「今、なんて？」


「今日から、ちゃんと彼氏になってって言ったの」


そう言ってから恥ずかしくなって、顔が熱くなってしまった。
< 106 / 316 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop