この想いを言葉にのせて
「あ、わたあめ……!」
パンダは部長が手に持っていたわたあめを見た瞬間、キラキラと目を輝かせた。
「あれ、パンダってわたあめ好きなんだ?」
サクタ部長が意外そうに呟く。
「うん!好き!大好き!」
パンダは机に身を乗り出してうずうずしながらわたあめを見つめた。
一方の私はというと、この状況に相応しくないむくれっ面でパンダを見つめた。
私には『好き』って言ってくれないのに部長には『大好き』って言っちゃうんだ。
それがたとえわたあめに向けられた言葉だったとしても、私が一度も聴いたことのないような嬉しそうな声でそんな事を言うパンダに何だかとてもむかついてしまった。
筋違いだということは分かっている。パンダは私の気持ちなんて知らないのだから、仕方のないことだということも。
「ミッチャン、わたあめパンダにあげてもいい?」
「……どうぞ」
私の返事を聴いてパンダはパアッと嬉しそうに表情を綻ばせた。わたあめを目の前にしたパンダがこれ以上なく可愛くて、思わず胸がきゅんっとする。
さっきまでムカついてた筈なのに、私って単純だ。悔しいくらいにときめいてしまう。
「じゃ!私クラスの出し物手伝ってくるから!」
「え、サクタ部長もう行っちゃうんですか?一緒に食べて行けばいいのに」
「いいのいいの!二人でごゆっくり~」
そう言ってサクタ部長はニシシッと意地の悪い笑みを浮かべた。なんてムカつく顔だろう。
「あの、部長……」
パンダが椅子から立ち上がってチョコンと頭を下げた。
「わたあめ、ありがとうございました」
パンダのお礼に部長は軽く片手をあげて部室を出て行った。