はずむ恋~見つめて、触れて、ときめく~
「わわっ」


耳元にかかった温かい息にビックリして、私は椅子から立ち上がり、支配人から離れようと後退りする。

思いがけない至近距離は嬉しいのだけれど、どうしたらいいか分からない。どう反応するのが正解なのか分からない。

離れようとする私の行動が支配人にとっては、予想外だったのか目を丸くさせて咄嗟に手を伸ばしてきた。


「ちょっ、横川さん!」

「すみません、私こういうことに慣れていなくて」


こういうことって、どういうことなのよって、心の奥から突っ込む声が聞こえたような気がしたけど、今の私は突っ込みの声を考えている余裕はない。

支配人が伸ばした手が私の腕を掴んだから、思考は停止した。このあと、なにが起こるのか全然予想出来ない。


「ごめん、怖がらせるつもりじゃなかったけど。本当にごめんね」

「いえ、失礼な態度で私こそごめんなさい。支配人が怖いんじゃなくて、さっきも言いましたが、本当に恥ずかしくてつい逃げてしまいました」

「あー、つまり照れているってこと?」

「まあ、そうです」
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