はずむ恋~見つめて、触れて、ときめく~
具合も悪くないし、熱ももちろんないのに、心配させてしまうのは心苦しい。


「あの、顔が赤いのは具合が悪くて、熱があるのではなくて……その、恥ずかしくなったからです」


赤い顔のままで本当のことを伝える。支配人は「えっ?」と私を見下ろした。まだすぐ隣にいるから、近い距離で目を合わせるだけで、激しく動く鼓動は止まらない。

驚く顔でもかっこよくて、支配人が見せる表情ひとつひとつに私は魅了されていた。

酔っていないと思っていても、意外に酔っているのかもしれない。だって、支配人がキラキラと輝いて見える。

これは好きだと自覚したからなのかな。


「藍果ちゃん」

「えっ? 今なんて言いましたか?」


下の名前でしかも『ちゃん』付けで呼ばれたことに耳を疑って、つい聞き返してしまった。

支配人は柔らかく微笑んで、顔を近付けてくる。だから、そんなに近寄られると心臓が壊れてしまいますってば……。

動揺する私に気付いているのか、いないのか分からないけど、近付いた彼は私の耳元で囁いた。


「藍果ちゃん、かわいすぎる」
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