はずむ恋~見つめて、触れて、ときめく~
手伝うことも多く、接客することの楽しさを知って、経験を少しでも生かせる場としてホテル業界に就職を志望したそうだ。

志望動機は人それぞれ違うが、同じような接客経験があることは正直羨ましい。


「フロントチーフの大沢と申します。1週間よろしくお願いします。では、一人一人名前を教えてください」


指導担当の大沢チーフは30才くらいの男性で、シルバーフレームの眼鏡をかけていて、ものすごく姿勢がよいが、神経質そうな印象を受ける。

フロントグループは三人で、私と彩音の他に軽い印象の石田くん。

「やっぱり俺たち縁があるんだねー」と石田くんは言っていたが、私は曖昧に微笑んだだけ。彩音は石田くんに「フロント向いてそうだね」と言っていたが。

私にはどんな人にも分け隔てなく話せる彩音が一番フロント向きだと思う。

簡単な挨拶を済ませたあと、まずはフロント業務で使う小道具について教えてもらう。私たちはメモを片手に聞いた。

チェックイン時間になるまではゲストがほとんど来ないので、話が聞きやすい。

どこからか視線を感じて、大沢チーフからふと目を離した。
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