はずむ恋~見つめて、触れて、ときめく~
でも、認めるのではなく同じ苦労をさせたくないからと反対した。


「やっぱり優しい人ですね。私のことを考えてくれていたんですよね」

「まあ、厳しいところもあるけど、優しい人だと思うよ。俺も両親のように好きな人と結婚出来たらいいなとずっと思っていたけど、なかなか巡りあえなくて、やっと藍果に会えた。藍果、一緒に暮らさない?」

「えっ? 結婚は来年ですよね?」

「来年まで待てない。俺たちさ、会える時間が少ないだろ? 藍果が夜来てくれても、帰ってしまう時、ものすごく寂しくなるんだよね」


確かにデートらしいデートが出来ないくらい私たちは会える時間が少ない。それに私も離れる時は寂しい。

結婚したらずっと一緒にいられるからそれまでの我慢と思っていたが。


「もう我慢の限界。朝起きたときに、藍果が隣にいてくれたら、毎日がんばれるのにと最近毎朝思っていてね」

「私も毎朝起きると玲司さんのことを考えますよ。仕事に行けば玲司さんに会えると張り切って出社しています」

「ん? ちょっと違うよね?」

「えっ、あれ? あ、確かに違いますね」


言われて気付いた。朝起きて、お互いのことを考えるのは同じだけど、考えることが微妙に違う。同じことを思ってくれていると嬉しくなったが、ずれていた。
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