はずむ恋~見つめて、触れて、ときめく~
「このあとは業務報告書を書いて、終わりになります。私は終わったら、あがりますけど、横川さんはチーフのチェックが終わるまで待っていてくださいね。なにか質問ありますか?」


私はいくつか確認したいところを聞いた。原田さんは嫌な顔をしないで、明るく丁寧に教えてくれた。最初は几帳面な人だから取っ付きにくい人かなと思っていたが、意外に親しみやすい人だった。

なので、聞いてみた。


「あの、業務に関係のないことでも聞いていいですか?」

「うん、いいですよ。なにか気になることでも?」


私は周囲に誰もいないことをそっと確認してから、声を潜めた。


「コンシェルジュの藤島さんをご存知ですか?」

「もちろん。きれいな人よねー」

「その藤島さんと支配人なんですけど」

「あー、ふたりが親密に見えました? あのふたりはね……」


私の聞こうとすることをすぐ理解してくれたようで、ペラペラと喋り始めた。噂好きな人のようだ。

やはりふたりは男女の関係があったらしい。


「でもね、藤島さんは去年別の人と結婚したのよ。あの時はみんなビックリしたわ」

「え、別の人と?」
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