はずむ恋~見つめて、触れて、ときめく~
酔ってものすごく眠くはなっていたけど、ちゃんと会話も覚えている。

支配人が困った顔をして、水を持ってくるからと私をソファーに移動させた。そこで、水を待っていたけれど……あれ? 水を飲んだ覚えがない。


「私、水飲みましたっけ?」

「ううん、飲んでないよ。俺が水を持ってきたら、寝てた。ほんの少しの間に寝てしまって驚いたけど、それだけ眠かったんだね」

「はい、すみません……」

「寝てるのを起こすのはかわいそうだから、とりあえずテレビ見ていたんだけど、突然手が伸びてきて、顔を触るからびっくりしたよ」

「ああ、重ね重ねすみません。寝ぼけてしまったみたいです」


寝ぼけたが一番無難な言い訳だろう。支配人が手に届くところにいたから、触ったなんて変質者のようで言えない。

失態に目も酔いもさめていく。


「なるほど、寝ぼけたのか。でも、どうして寝ぼけて俺の顔を?」


支配人の問いかけに、ギクッと肩を揺らした。どうしてって、どう答えたらいいのか。


「家で飼っている犬と間違えました」
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