はずむ恋~見つめて、触れて、ときめく~
近付いて……コツン……。

んん?

おでことおでこがぶつかった。いや、ぶつかったのではなくぶつけられた。

痛くはないけれども。


「良かった、熱はなさそうだね。もしかして酔っているんじゃなくて、熱があるんじゃないと思ったけど」


支配人は離れて安堵した表情を見せる。私は間を開けて、「熱?」と聞き返した。

まさか、発熱を疑われるとは思っていなかった。近付く顔に私が予想したのは……。


「でも、元気にしっかり食べて、飲んでいたのだから突然熱は出ないよね。子供じゃないしね」


返事にコクコクと頷いた、恥ずかしい予想を気付かれたくない。


「おでこつける前に、横川さんが目を閉じるから一瞬ドキッとしたよ」

「えっ? いや、あの、目を閉じたのは……」


私はどうして目を閉じてしまったのか。数分前の自分に目は開けること!と伝えたい気分だ。

それよりも目を閉じた理由を言わなくてはならない。支配人は言葉の続きを待っている。さっきみたいな咄嗟の嘘はもう言えない。

でも、本当の理由はもっと言えない。必死で考えるけど、何も浮かばない。
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