はずむ恋～見つめて、触れて、ときめく～

「本日より販売課に勤務いたします仲村彩音と申します。出身地は沖縄県で、大学は福岡県でした。就職を機に憧れでした東京での暮らしが出来て、喜んでいますが、まだまだ慣れていません。暮らしにも仕事にも早く慣れたいと思いますので、どうかご指導のほどよろしくお願いいたします」


彩音はハキハキと淀みなく言葉を発して、最後には笑みを浮かべてお辞儀をした。この場で笑みを見せることの出来る彩音はさすがだと感心するが、自分へのプレッシャーにもなった。

「次は横川さん」と、促されて真っ直ぐと前を向いたその時、視界の端に思いがけない人が映った。

なぜ支配人がいるの？


「横川さん？」

「あ、すみません」


動揺して動きを止めた私を人事課の社員が怪訝そうに見た。動揺するけど、動揺している場合ではない。


「本日から企画課にお世話になります横川藍果です。私は東京生まれの東京育ちです。分からないことばかりで皆様にはご迷惑をお掛けすることもあるかと思いますが、一日でも早く営業部の一員となれるようがんばりますので、ご指導のほどよろしくお願いいたします」